私は約40年前大学医学部を卒業しました。
大学では『(手術のできない)癌には抗癌剤・放射線治療、皮膚筋炎・SLEなどの重症の膠原病にはステロイド』と、 これしか教えてもらえませんでした。教科書にもこれしか書いてありませんでした。
私は少しは疑問がありましたが、これが医師の正義と思って大学を卒業して23年、何百人もの患者さんに 化学療法(抗癌剤治療)や放射線療法を行なってきました。 また、千人近い重症膠原病患者さんにステロイドを内服させてきました。
その癌患者さんの中の大部分を占めた進行・末期癌患者さんは、大多数が、抗癌剤の 副作用で苦しみつつ、亡くなっていきました。
亡くなった患者さんの直接の死因の多くは、癌ではなく、抗癌剤の副作用でした。 ただ、この方法しかないし、どこへ行っても、こういう治療しかやっておられないので、 私も苦しんで亡くなっていく患者さんを目の当たりにしながらこの治療を続けてきました。
丁度今から23年前です。私の小学2年の長男が急性骨髄性白血病にかかりました。 私は当時は、化学療法(抗癌剤治療)が正しいと思っていましたので、自分で 治療をしても、子供が気ままを言いますし、客観的で冷静な治療が出来ないので、 某医大にあずけました。
化学療法の治療を約1年3ヶ月受け、今まで亡くなっていった 癌患者さんも皆苦しんで亡くなりましたが、その人たちの苦しみの比ではなく、長男はこの世の 最高の凄惨そのものの地獄を見ながら、臨終でもがき苦しんで亡くなっていきました。
最愛のわが子のこの死に様を見て、さすがの私も目が覚めたのです。