欧米の癌の専門医は、数年前から、癌患者さんが来院しても、もうfirst choiceで 抗癌剤をやらなくなったということです(国際癌学会出席者の話)。 「おいしいものを食べて、 余生を送りなさい。」と、抗癌剤で延命効果のない患者には、抗癌剤を打たず、こういう指導を しているそうです。ただ、患者さんの家族がやってくれと頼んだ場合は、やるそうです。
日本のお医者さんの場合は、末期癌の患者さんがやって来たら、 抗癌剤をやろうします。家族は助かってほしいものだから、お医者さんの指示に従います。
ただ、その時、家族は、「うちのお父ちゃんは、末期癌でやせ細って、フラフラになっています。 新しい、きつい抗癌剤をやって、うちのお父ちゃんは助かりますか?」と聞きます。
その時の日本の抗癌剤を使う殆どのお医者さんの返事は、「やってみないと判らない。70%の確率だ」 と、玉虫色のことを言います。患者さんの家族は、私も子供を亡くして痛い経験があるのでわかりますが、 やはり自分の頭では、絶対だめと思っていても、心のどこかに、「何とか助かってほしい!」という 奇跡を祈る心があります。
お医者さんが、これだけ玉虫色のことを言えば(結果は、抗癌剤で苦しんで死ぬのに)、 お医者さんの指示に同意して、抗癌剤をやります。
一方、欧米のお医者さんは、最近は、家族が抗癌剤をやってくれと言えばやりますが、 "お宅のご主人は、抗癌剤をやっても、3ヶ月で死にますよ。こうこうこれだけの副作用が出ますよ。"と 将来起こりうる、ありのままのことを全て告げて、その上で、患者の家族が納得すれば、 抗癌剤をやるそうです。
苦しんで死ぬことが判っていながら、延命効果がないのを 判っていながら、進行癌、末期癌の患者さんに、癌だから抗癌剤、健康保険が効くから抗癌剤というのが、 日本のお医者さんの主流です。
どうせ死ぬのですが、苦しんで死亡するのです。このことが、私は許せません。この私のインターネットの癌の 項に何度も何度も繰り返し私の心の中を、日本の癌治療が間違っていることを訴えて来ました。
ただ、これは私だけの独断、ドグマではありません。私の講談社から出ている『がん治療「究極の選択」』をお読みください。
文末のほうに10数編の英文の国際医学雑誌に、しかも超一流のトップクラスの医学雑誌に、 有名な癌の専門医が私と同じことを言っております。 是非私の本を買ってお読みください。
日本のお医者さんは、"First, Do Not Harm"(何よりも害をなすなかれ)というヒポクラテスの誓いと全く対照的です。
"First, Do Reduction in Tumor Size & Markers , and Lastly Do Not Harm."であっては困るのです。
最近よく癌治療の経験を積まれた癌センターのお医者さんの中には、私が表示しているような、 それぞれの癌に対する抗癌剤の効果の限界が大分理解されて来て、延命効果があれば抗癌剤をやる、 また縮小効果があればやられます(私は、縮小効果があっても、苦しん死ぬだけで、 延命につながらない時は、やりません)。
ただ、抗癌剤をやって癌が縮小しても、 限界が来て、これ以上効果がないと思ったら、退院させてホスピスへ送り、痛み止めと栄養剤の点滴で、 苦しまず余生を送らせようとするお医者さんが出て来ています。 今こそ、世界中の医療関係者が深刻に考えるべき時だと思います。