2003年12月に神戸で行われた統合医療(naturopathic medicine)の最大の学術大会で ある第七回JACT大会のシンポジウムで丹羽が 『焙煎・発酵・油剤化を施した天然の 生薬を原料とした抗酸化剤、制癌剤のbioavailability(DDS)の増強―重症の 膠原病や予後の最悪の膵、肺(小細胞)、胆のう、腎癌に対する治療効果―』の タイトルで講演しました
現在の私の癌の治療薬の開発状況並びに特殊加工による 生薬活性化のメカニズムについて少し記載します。
先ず、一般に、自然の生薬中に含有される抗酸化物質あるいは制癌物質は、 低分子であろうと高分子化合物であろうと、 そのまま内服した場合は、お互いに重合し合っているため、生体で有効な活性化物質と して作用しにくく、生薬のbioavailability(生化学活性)を高めるためには、 我々の開発した4~14μm遠赤外線焙煎に発酵法を施して、重合された結合物質から freeの低分子或は高分子の活性化物質を遊離させることが必要であると報告しました。
(【参考】Inflammation, 10: 79, 1986; Drugs Exptl. Clin. Res, 14: 361, 1988; Planta Med. , 57: 299, 1991;応用薬理、47: 465、1994;第37回日本癌治療学会キーシンポジウム、 1999年10月,第七回JACT大会、シンポジウム、神戸、2003年12月)
茯苓、檳榔、牛黄、大黄、滑石、harpago (pedaliaceae) の合剤であるBG-104、 アガリクス、ビワの種、冬虫夏草、岳樺(チャーガ)、鹿角霊芝、オンコの木(原産は中国産。特殊な杉の木)、 ブラジル産Tecoma i Martの酢酸抽出エキスなどを以上の加工法でそれぞれ処理した生薬を、 過去15年間(一部のものは2・3年間)に亘って約1500例の悪性腫瘍(malignancy)患者に使用してきました。
特に前述のオンコ(紅豆杉)にはタキソールが、Tecoma i Martにはアドリアマイシン、マイトマイシンと異なる副作用のない抗癌物質である フラノナフトキノンが大量に含有され、正常細胞は避けて癌細胞を選択的に攻撃します
(Cancer Detect. Prev., 23: 539, 1999; 第23回和漢薬研究所特別セミナー講演要旨集:p22, 2002)。
また特に重症の進行癌患者さんは入院させ、成分尿療法(尿中に存在する制癌作用のある有効成分を 機械で比重の差によって早朝尿より取り出して内服させる・・・尿の臭さも無く10~20ccの透明の液体) (ビィ・オール、47: 12, 1995)や生体の正常な細胞を活性化さす 遠赤外線サンドバス入浴療法(炎症、16: 425, 1996; フレグランスジャーナル、 3: 27, 1999) などを主体とした治療法も行ないます。
なお、上記の治療薬は末期癌患者でも2~3週間内服すると一応元気が出たり、食欲が出たり 血色も良くなり、たとえ亡くなっても、2~3ヵ月以上内服している患者は臨終に 絶対と言ってよいくらい苦しみません。
一般に癌の治療として我々は、完治や長期延命のかなり望める子供の急性リンパ性白血病や 悪性リンパ腫(但し、再発を繰り返している症例は除く)、更に精嚢癌等には積極的に 化学療法や放射線療法をすすめますが、進行癌の患者などは、抗癌剤を打っても苦しむだけなので、 残された余生のQOLを考えて化学療法をせずに、我々の上述の治療を行なっています。