『比較考量』という法律用語がありますが、all or noneでなく、許された範囲で 何が一番よいか考えるのが大切です。理想で言えばステロイドを使わないに こしたことはありませんが、ステロイドを使わずに社会生活が出来ないのでは、 いくらリウマチが生命と関係ないと言っても人間ではありません。
時折、「丹羽医師は抗癌剤、ステロイドを使わないと言って、癌に抗癌剤を、 またリウマチ患者さんにステロイドを使っている」と非難されます。
以上、私がお話して来ましたように、このようにあらゆる治療に抵抗してどうにもならぬ 患者さんに、副作用ができるだけ出ない程度のステロイドを使うことは、やはり比較考量を 考えた上で許されることではないでしょうか。
また、私は重症のアトピー患者さんに、 低濃度のステロイドに天然の生薬を混ぜた軟膏でどんどん改善させ、社会復帰を させていますが、これを非難される医師もおられます。 「丹羽医師は自然回帰の旗をあげステロイド軟膏を使っている」と。
しかし現実には、最近の超重症化したアトピーでは、温泉、酸性水、漢方薬ではコントロールできず、 多くの患者さんが社会生活からの抹殺で終わってしまうという気の毒なことになっています。
私の天然の生薬が副作用が出ないような働きをさせるので、 この低濃度のステロイドプラス天然の生薬の軟膏療法はアトピー患者さんには 許されるわけです。社会生活から抹殺されようとする重症アトピーに対する低濃度ステロイド含有軟膏外用と 同じく、社会生活ができなくなるような重症のリウマチ患者さんに、この程度の ステロイド内服をさせることは、比較考量を考えて許されることだと私は信じています。
(Pharmacometrics, 58: 35-44, 1999;アレルギーの臨床、17:126-127、1997;)
もう一度上述の原則を整理しますと、最初に申しておりますように95%は私の天然の生薬を、癌、膠原病、難病の 患者さんに使っていますが、5%は化学薬品を使うと申しております。
その使用基準は、癌の中でも7~8割は抗癌剤で完治する子供の急性リンパ性白血病、精嚢癌、 また、2~3割はうまく抗癌剤でコントロール出来る悪性リンパ腫の患者さんには、 患者さんがいくら苦しもうと、治るのですから敢然と使います。
次に、アトピー患者さんの全身超重症の皮疹で痒くて夜も眠れず、学校、会社にも 行けない、結婚・恋愛の破談、中断など社会生活から抹殺された患者さんに私の 開発した天然の抗酸化剤エキス(ステロイドの副作用を抑制する)を入れた 低濃度ステロイド軟膏療法を行い、社会復帰させてあげています。
直接、生命には関係しませんが、腫れ、熱発、関節痛のため社会生活も 出来なくなろうとするリウマチ患者さんに、私の天然の生薬を使用しても どうしても改善しない場合は、1.5錠(プレドニン7.5mg)以下のステロイド内服を 行って人間らしい生活をさせてあげています。
生命を奪うような重症のSLE、皮膚筋炎は、私の天然の生薬で治療し、効なく、 生命も危険な場合は、私の天然の生薬の併用でステロイドの量を なるべく少なくして、生命を救うためにステロイドを敢然と使用します。
我々は原始人とは違います。 人類が21世紀に得た叡智の賜物である科学の恩恵を享受すべきです。 比較考量を考えて、これぐらいの抗癌剤、ステロイドを使うことは 大きい目で見て、また、患者さんのことを考えて、むしろ望ましいことではないでしょうか。