私の研究所で測定したところ、アトピー性皮膚炎の患者さんは、 健康人と比較すると不飽和脂肪酸が多く、SOD誘導能が低いという結果が出ています。
SOD誘導能(インダクション能)というのは、体内で活性酸素が 増えたときにSOD値を上昇させる能力を指します。活性酸素の害から 身体を守るうえで重要なのはこのSOD誘導能です。私の研究室で SOD値の測定を行ったところ、16歳から40歳までの青壮年層と 65歳以上の老人では10倍の開きが認められました。
SOD値は平均すると年齢、健康状態による差はあまり認められませんが、 活性酸素や過酸化脂質と関係した病気にかかっている人、また、 かかりやすい人はSOD誘導能が低いことがわかってきました。
このSOD誘導能を測定することで、老化の程度が計れるとともに アトピーや癌、脳卒中、心筋梗塞にかかる危険性も予測することができるのです。
SOD誘導能の測定は次のように行います。血液の中のリンパ球・好中球を 試験管に入れ、そこに農薬のパラコートを入れます。パラコートは細胞の核を 傷つける毒性の強い農薬ですが、リンパ球・好中球はこのパラコートに よって細胞の核で作られた活性酸素を取り除こうとしてSODを作り出します。 するとリンパ球や好中球のSOD値が上昇します。この値をSOD誘導能と呼びます。
この方法を用いると、被測定者の身体には何の影響も与えずに、安全かつ 迅速に被測定者のSOD誘導能を調べることができます。
活性酸素は不飽和脂肪酸と結びついて過酸化脂質となり、血管、臓器、皮膚組織に 付着して徐々に生体に障害を与えてしまうのですが、アトピー性皮膚炎の 患者さんの場合は、過酸化脂質が皮膚の最上層の角層に付着して 皮膚の水分保湿機能を奪ってしまっているのです。
汚染地帯にいても、アトピーになる人、ならない人の差はSOD誘導能の差と考えられます。