たしかに、アトピー性皮膚炎、気管支ぜん息、アレルギー性鼻炎等は、 遺伝形式は不明ですが、遺伝的要因が強いと考えられます。
昔は患者さんの大半は、家系にアトピー体質(アトピー性皮膚炎や 気管支ぜん息、アレルギー性鼻炎)の人がいて、その遺伝的な因子を もらってアトピー性皮膚炎を発生する患者さんが多く見られました。 これを″アトピー(体質) の家族歴がある(陽性である)″といいます。
もちろん、今でもアトピー性皮膚炎は、遺伝的要因が原因になっている ケースも多いのですが、最近では、アトピー体質の家族歴がない人や、 はっきりしない人がかなりの割合を占めるようになってきました。
このことは、 非常に軽い遺伝的要因の場合で、昔ならほとんどアトピー性 皮膚炎が発生しなかった人々も、環境汚染(が作り出す活性酸素、過酸化脂質)が 皮膚の保湿機能を奪って乾燥肌の皮膚になることを意味しています。
そのため、最近では家族歴でアトピー体質のある人の 割合が少なくなっているという現象が生まれています。
また、ひと昔前は、腕、下肢の屈側部にひどい症状をもつ人が 多かったのですが、最近では、全身型の患者が増え、季節に関係なく、 一年中ひどい症状を示すようになっています。
成人の患者さんの場合は、特に顔や首に極度に悪化した症状をもつ人が多く見られるようになりました。 これも、環境を汚染している排気ガスや重油をたいた工場の煤煙が、露出した顛や首に直接あたるためと考えられます。